20150125

自撮り棒

自撮棒について考える。

撮るための機材の一種であってそれには何らかのカメラが必要だ。
この場合はカメラはほぼスマホ、携帯の類といって間違いない。
そもそも写真というのはその場にあった出来事、風景等を写して楽しむもの。
出来事であれば何処へ行った、誰にあった、何があった・・・等
風景であっても何処へ行った、どんな風景だった・・・・等となる。
全ていえるのがその場所、その時間に被写体があってそれをカメラで写すということ。
そしてその写し取った被写体をどうするか?
自分用にコレクションする?それはごく一部。
ほぼ大多数は人に見せるため。
友人、家族、同僚、同じ趣味の人・・・・。

お父さんが運動会で子供の写真を撮影する → 家族に見せる、友達に見せる・・・
写真家が山奥で美しい風景を撮影する → 写真誌への掲載 → 多くの人に見てもらう
今日は味噌カツ食べたので写真付でSNSへ投稿 → SNSを通じて全世界へ発信!

世の中の流れとしてフィルムがデジタルになりそして通信機器と合体した。
写真は撮影して現像、プリントするものからその場で通信、交換するものになった。
小型になった受光素子と通信網がその流れを加速させている。
逆にデジタル化されて以降の写真は高精細化が進んだがここ数年は停滞気味である。

写真の用途の多くが通信用となったためでスマホ等の通信機器で見られる最低限の画素数を確保できればそれほど高精細になる必要もなくなった。

スマホの画面は4~5インチ程度のものが多くタブレットとの中間的な6~7インチが最大といえるが手の小さな日本人には使いづらい。
5インチ液晶として考えるとFull-HDやWUXGAといったパネルが使われているが画素数で表すと200万画素程度である。
縦横を倍の精度で表現しても800万画素・・・・。
5インチ液晶で引き伸ばさなければ200万画素程度、引き伸ばしても800万~1000万画素あれば十分といえる。

最新のデジタルカメラを見てみると2000万画素クラスがゴロゴロ・・・・。
画素数の増加=機器、通信への負担となるのでデジタルカメラ自体の用途が変わりつつある。
カメラの中でデジタルカメラが占めてきた分野は、「手軽に」、「簡単に」、「綺麗に」。
フィルムカメラの小難しさを排除したことにより爆発的にヒットした。
ある意味レンズ付フィルムと似ている。
この中で手のひらサイズの液晶画面で見るのに不要な機能は「綺麗に」といえる。
小さな液晶で「綺麗に」は限度があるからだ。
逆に「手軽に」「間単に」はスマホ、携帯電話の圧勝。
高精度な撮影アプリケーションが状況を判断して撮影してくれる。
電話、通信機能にカメラを付加すれば写真を送ることにより相手側に簡単に見せることができるためだ。
この見せるという行為が通信の中で完了してしまっているので、紙(印画紙)で出すことも少なくなった。

最初に話したとおり写真の目的は「人に見せるため」が大多数である。
今度は何を人に見せるか?
SNSの普及状況を見ると”今の出来事”というのがひとつのキーワードになる。

”今”ここにいます
”今”何をしています
”今”誰といます
”今”何を食べました
”今”こんなことがありました

それがリアルタイムで発信できるのがSNS。
そしてそれに対するリアクションもしかり。
当然それらの記事について写真が付属する。
証明写真ではないがその場の状況が写真で送られてくればより状況がわかりやすい。

さらに進むと写真の中に自分を入れたいと思うことは人間の心情といえる。
ただ手持ち撮影で写真に自分を入れるのはアングル等に限界がある。
被写体と自分の配置。
またスマホ、携帯電話等、通信機器側の画角により入りきる範囲が限られてくることもあるからだ。
少し離れた位置にカメラを持ってくるといい。
三脚等に固定しセルフタイマーで撮影すれば問題がないのだが、そういったものを携帯する人はまずいないだろう。

携帯できて腕のリーチも関係なくある程度離れた位置から撮影できる機材として自撮棒が販売されている。
伸縮棒の先端にスマホ等小型カメラの固定台座、そして持ち手部分にはレリーズボタンがついている。
その多くはBluetoothで通信しシャッター操作をしている。
当然Bluetooth対応していない機器は操作できない。

一部、否認証機器もあり危険である。
日本の総務省は甘いので何か大きな事故があるまでは動きそうにないが某国ではすでに規制対象である。
そういった商品を日本で購入し海外旅行先で逮捕、罰金なんてこともあるかもしれません。
購入はよく考えて・・・・
安いからといって出所のわからない商品は買わないこと。

さて自撮棒という製品について考える。

まず自撮棒は脚立以上に迷惑な商品。
【1】撮影に時間がかかる。
   その場に立ち止まる時間が長くなるため通行、往来の多い場所で使うと迷惑
【2】撮影スペースを多くとる。
   撮影時に棒のスペースが必要になるうえに認識しにくいため接触が起こる。
【3】周囲が見えなくなる。
   液晶を見ながらの撮影では周囲が見えなくなる。
   これが棒の分だけ広い範囲になるのでより危険。
【4】撮影してはいけない空間への立ち入り。
   本来の使い方ではないがこういった人間が増えてくることは確か。
【5】日本ではこれから増加していく
   一番の問題はこういった行為をする機材が増加していくということ。
   一部の人間が使うのではなく多くの人間が使うので事故も増える。

ということで自撮棒を購入した時点で”自分大好き”な人が起こす”自分勝手な行動”が増えることを危惧する。