20120308

円安























背景の木々が黄色き色づき始め憂鬱な時期がやってまいりました。
これからしばらく辛抱の日々ですね。

さて円高還元セールがあるなら円安還元セールもあっていいのでは?と思うのです。
円高還元セールは海外のものが安く入荷できるから安く売っちゃえ!ってことですよね。
だから逆で円安還元セールは海外にものが高く売れるから国内向けは利益を下げて売りますって・・・・やらないか・・・・・。

最近、少しずつ円が安くなっていますね。
逆に言うとちょっと前が高すぎてどうしようもなかったのです。
80円台になると円安になったと感じるのは感覚が麻痺してきたから。
でも輸出産業にしてみればこれは死活問題ですよね。

円安が80円を突破してから輸出関連を中心に国内株価も戻り始めました。
ユーロもボチボチ戻りつつあるのでそれも大きいと思います。
1円の円安でえらい動くものです。
まさに群集心理。
だから円が1円上ると株価もドーンと下がったりするのです。

こうやって投資とかやっている人からすると、円相場は大きな判断材料なのですが一般の人にはあんまりピンとこないですよね。
円安って本当にいいことだけなのでしょうか?
自分はあんまり実感ありません。

1ドル80円だとします。
だいたいそのあたりをウロウロしているので仮に設定します。
ある会社が自社の製品をアメリカに輸出します。
製品の値段を1個80円とすると1ドルで売れるということですね。

自動車、機械、家電、精密部品・・・・一般的に日本が得意としている輸出品目は円高のおかげで利益がほとんどないそうです。
仮に今回80円の製品の利益率が10%=8円としましょう。
残りの90%=72円が原価です。
1個売っても8円の儲けですからあんまり儲かりませんよね。
たくさん売らないと会社の経営も難しい状態です。

では円安が進んで1ドル160円になったとします。
2倍ですね。
今まで80円で売っていたものが160円で売れることになります。
輸出の基準は輸出先の通貨ですから単純に考えるとこうなります。
原価は変わらず72円。
今まで8円の儲けだったものがナント88円に!
一気に11倍です!
こりゃあ大儲け!と思ったのもつかの間そこには大きな落とし穴が・・・・・。

日本は資源の乏しい国です。
石油がワンサカ湧くわけでもなく、鉄鉱石がゴロゴロ転がっているわけでもない。
油、金属、木材・・・・そのほとんどが輸入に頼っているのです。

ここで先ほどの原価が出てきます。
原価は大きく分けて人件費と材料費に分かれます。
人件費と材料費の割合を半々としましょう。
人件費36円、材料費36円です。

円が安くなると輸入している材料費が上ります。
例の場合だと1ドル80円から160円になったので2倍。
今まで36円で輸入していた材料が2倍の72円になるのです。
ということで合計すると原価は108円。
差額の52円が利益となります。
なんだか随分と減ったように感じませんか?
まあでも企業としては利益が改善するので良い事です。

次に国内向けを考えると今まで80円で売っていたものを80円で売るわけに行かなくなります。
材料費が2倍ですから。
原価だけでも108円。
販売価格の80円を突破しちゃっています。
企業側としては利益をのせなければつぶれますからこれにいくらか上乗せして販売します。

最初に提示した企業経営に行き詰るような利益の8円をのせて116円。

アレ?
80円で買えた物が116円になりました45%の値上げです。
消費税10%どころの騒ぎじゃありません。
自動車で考えましょう200万円の自動車が290万円ってシャレになりませんよ。

それでも企業経営としては火の車。
この場合海外向けが利益の柱となります。


円安になると商社が輸入する商品も同じように上ります。
今まで1ドルの商品が80円で買えていたのに160円になったのですから、当然のごとく小売価格にも反映されます。
食品、衣料品等多くのものを輸入に頼っていることを考えるとこれは非常に痛い。

農作物を例にとってみます。
中国産の野菜と国産の野菜。
今は2倍の値差があっても円安で円の価値が半分になると「アレ?あんまり変わらないね?」ってことになります。
同じ値段なら国産買いますよね。
安心できるイメージがありますから。

じゃあ皆が国産を買い始めるとどうなるか。
当然需要と供給の法則で国産品の値段が上ります。
ちょっとぐらい上げてもまだ売れるから。
農家は儲かって仕方がない?
イヤ結局どこかで何かを輸入しているのです。
燃料、農機具、耕運機、肥料・・・・・。

交易のほとんどなかった江戸時代まで日本の人口が2000万人前後で推移していたことを考えると、日本の国土ではその程度しか養えないのですよ。
残り1億人分の食料は輸入するしかないのです。

食料で考えると1億人分が2倍になって2000万人分がそれとなく上昇するのです。
で、給料は変わらず。

うーん。
円安が進んでも儲かる感が無いのは自分だけでしょうか・・・・・。